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2020.12.03

  • 東京本社

キューバ 幼児教育の現状を探る

キューバ 幼児教育の現状を探る

カリブ海の真珠と謳われるキューバは、フロリダの南に位置する島国です。かつて革命家チェ・ゲバラとフィデル・カストロ率いる革命軍により成し遂げられた「キューバ革命」以降、社会主義の国として歩んできました。

その大きな特徴は医療費や、大学までの教育費、食料の配給といった生活に必要な出費がほぼ無料だということ。今回は社会主義国キューバの幼児教育事情を探る研修旅行の様子をお伝えします。

キューバの玄関口は首都ハバナ。日本からの直行便がない為、今回はエア・カナダを利用してトロント経由で向かいました。所要時間はおよそ19時間です。

ハバナは新市街地と旧市街地に分かれており、様々な建築様式のカラフルな建物が 建ち並ぶ旧市街地は世界遺産にも登録されています。そして街の中を歩くと、どこからともなく生演奏のキューバ音楽が聞こえてきます。

そんなハバナはアメリカの文豪、アーネスト・ヘミングウェイが愛した場所でもあります。街にはヘミングウェイゆかりの場所が点在し、なかでも有名なのは「ラ・フロリディータ」と呼ばれるシーフードレストランです。ここのレストランのバーカウンターには、彼の指定席だった場所に実物大の銅像が今も座っています。

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「ラ・フロリディータ」にあるヘミングウェイの銅像

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レストランにやってくるバンドの生演奏

社会主義国における幼児教育の現状を知るため、まず最初に訪れたのはElpidio Valdes幼児教育施設です。エルピディオ・バルデスはキューバ人を象徴する国民的キャラクターで、同名が付けられた就学前の子供たちが通う教育施設。ここでは遊びを通して実務的なことを学ぶロールプレイング形式を実践しており、施設と園児の家族との関係を大切にしています。

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国から支給されている教材

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ロールプレイング形式の教育

続いて、ハバナのベダード地区にあるジョンレノン公園で週2回開催されている教育プログラム「Educa a tu hijo」を視察しました。働いていない母親とその子ども達が通う、いわば「青空教室」で、保育園に通う子どもと通わない子どもに学力の差が出ないよう 専門家が担当、ケアしているプログラムです。この教育プログラムでは、子供たちはもちろんのこと、母親たちにとっても情報交換の良い場所になっているようで、子育ての悩みを直接、専門家に相談することができます。

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専門家の指導のもと、子供と遊ぶ母親たち

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ジョンレノン公園内にあるジョンレノン像

次に訪れたのは市内にあるNicolas Estevanez小学校です。

キューバでは学校で使用する教材は国から無料で支給されています。また学校給食は母親が働いている家庭の子供は格安で利用することが出来ますが、母親が主婦として家に居る家庭の子供は、一度家に帰って昼食を取り、その後14:30までに学校に戻ります。

今回、通常の幼稚園(保育園)と前出の教育プログラム「Educa a to Hijo」から来た子ども達が小学校に上がる準備クラスで一緒に授業を受けていましたが、学力の差はほぼ無く、教育プログラムが貢献し、成果をあげている様子が伺えました。

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キューバ音楽に合わせて踊りの披露

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授業の視察

最後に2013年からユネスコの支援を受けているCarlos Manuel de Cespedes小学校を視察しました。ここは母親が働いている家庭の子供のみが通う小学校です。先生は全員修士号を持ち、教育専門機関を出ているので、他の小学校に比べて先生たちの レベルが高い学校です。また、校長先生が全ての人事権を持ち、校長自らがリクルーティングをして各地から呼び寄せており、しっかりした先生が多いのも特徴です。

教育分野では様々なプロジェクトが存在し、幼い頃から各個人の傾向を見て、将来どんな仕事に就きたいかを探るプロジェクトや砂を守るプロジェクト(環境問題)、手工芸のプロジェクトなどがあります。

キューバの公用語はスペイン語なので、通常、英語の授業は小学校3年生から始まりますが、この学校では小学校1年生から学んでいます。

各科目には必ず生徒が助手として付き、小学校1年生から誰でもなることが出来ます。

これは「教えることも体験」という理念のもとに進められているプロジェクトです。また、環境省から専門家が来て子供たちを指導しています。

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全校生徒のお出迎え/とても元気な声で歓迎の挨拶をしてくれました

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教育施設のエントランスに設置されている偉人コーナー

キューバではどの教育施設でも必ずエントランス付近にキューバの偉人・英雄達のメモリアルコーナーが設けられていたのが印象的でした。それはフィデル・カストロやチェ・ゲバラをはじめ、ホセ・マルティ、カミロ・シエンフエゴスなどキューバ建国に尽力・貢献した人々の写真が飾られていました。毎日登校した際に一番最初に目につく場所にあり、彼らの偉業を語り継ぎ、そうやって幼い頃からキューバへの愛国心が育まれていくのだなと感じました。

日本から遠く離れたカリブ海に浮かぶ社会主義の国キューバには世界遺産が多く存在し、どこか懐かしい雰囲気を漂わせる街並みを見ていると、まさにタイムスリップした気分になります。

今回は視察の様子をメインにお伝えしたので紹介しきれませんでしたが、上記視察以外にも世界遺産の街、トリニダーを訪れたり、ヘミングウェイが『老人と海』を執筆した街「コヒマル」にも足を延ばしました。

アメリカからの経済制裁によって車が輸入できなくなり、今でも1960年代のカラフルなクラシックカーが走っているキューバ。オバマ政権時代に大統領がキューバを訪れたことを機に、経済制裁がやや緩和され、近年多くのアメリカ人が観光で入ってきています。これから数年でどんどん変わっていくであろうキューバの姿を皆さんにもぜひ一度見ていただきたいと思います。

東京営業部 萩原