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2016.08.09

  • 海外現地レポート

ヨーロッパ菓子の本場 オーストリア製菓研修

2月中旬から9日間、オーストリアの首都ウィーンから車で約56キロ西へ向かったザンクト・ペルテンでペルテンで製菓・製パンの講習を受ける研修の添乗に行ってきました。ザンクト・ペルテンはニーダーエスターライヒ州の州都で、観光業、機械、繊維、製紙工業が盛んな街です。

オーストリアではマイスター制度があるので、職業訓練校やプログラムがとても充実しています。オーストリア教育の大きな特徴として、学校教育と職業訓練が組み合わされている為、子ども達は15歳から職業訓練のチャンスが与えられ、社会を経験することができるのです。 

私たちが講習でお世話になったWIFIザンクトペルテン校(通称:ヴィフィ)も職業訓練校です。 

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講習でお世話になった職業訓練校WIFI


校内では様々な産業(機械業、自動車産業、IT産業、観光業など)の授業を受ける為、いろんな年代の受講生の姿を見ることが出来ました。
昼食をいただいた施設内のレストランでは、毎日実習を受けるクラスの生徒さんが厨房やホールに入りスタッフとして働いています。

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レストランの実習生


ランチは毎日日替わりでオーストリア料理とデザートをいただきました。
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WIFIでのある日の昼食

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WIFIでのある日の昼食

宿舎として利用していたホテルは講習を受ける会場から徒歩5分の距離にあるWIFIの施設でしたので、毎日焼きたてパンとおいしい朝食をいただくことができました。

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WIFI宿泊施設での朝食


講習は朝8時から13:30まで、施設内の教室をお借りして5日間受けました。「オーストリア国家マイスター資格」を持つ職人さんが講師となり、日本人の通訳の方を介して講習を受けます。デモンストレーションを目の前で見ながら製作工程を学ぶので、教室の中はいつも甘い香りに包まれています。

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講習風景


作るお菓子は毎回3~4種類で、参加している生徒さんは一生懸命メモを取ったり、動画を撮ったり、実際に製作工程の一部も手伝います。オーストリア菓子の代表格である、ザッハートルテも作りました。

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ザッハートルテ

お菓子は基本的にランチを食べている間に焼き上げるので、午後の講習の終わりには必ずティータイムがあり、その日に作った出来たてのお菓子を全員で切り分けて試食します。

オーストリアの洋菓子とハプスブルク家の存在

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ティータイム

オーストリアの洋菓子はハプスブルク家の存在がとても大きく影響しています。ハプスブルク家は13世紀~20世紀の間、およそ650年続いた王家で、「戦は他国にさせておけ、幸いなるオーストリアよ、汝は結婚せよ」という家訓があり、争いではなく、政略結婚によって他国との縁組みを繰り返して領土を拡大していった経緯をもち、全盛期にはヨーロッパの大部分と南米までを統治していました。その為、当時からオーストリアの中心地であったウィーンには世界各国の食文化が入り、発展していったという経緯があります。トルコやハンガリー、チェコにルーツを持つお菓子も多く、一家が甘い物好きであったということもオーストリア菓子の発展に貢献したといえるでしょう。
政略結婚により繁栄してきたハプスブルク家において唯一、初恋を実らせて結婚をしたのがマリア・テレジアで、夫フランツ・シュテファン公との間には16人の子どもが生まれました。マリア・テレジアは彼女の子供たちを他国との婚姻関係を結ばせることにより、さらに領土を拡大し、大きな繁栄の礎を築きました。彼女の末娘は「ベルサイユのバラ」で有名なフランス王妃マリーアントワネットです。

研修期間中、午後の講習後は専用車でウィーンへ移動し、4日間かけてウィーン市内を見学、散策しました。ハプスブルク家の夏の離宮であり、世界遺産にも認定されているシェーンブルン宮殿やナッシュマルクト市場、ハプスブルク家の財力によって集められたブリューゲルやベラスケス、ラファエロら巨匠たちの名画を鑑賞できる美術史美術館、

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ナッシュマルクト市場

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シェーンブルン宮殿


ウィーン市内の散策では路面電車に乗ったり、旧市街にあるシュテファン大聖堂や老舗カフェめぐりにと思い思いに過ごす時間もありました。

ヴァッハウ渓谷

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レトロな雰囲気を今に残すウィーン市内の老舗カフェ


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シュテファン大聖堂(残念ながら現在、外装修復中)
(残念ながら現在、外装修復中)

その他ヴァッハウ渓谷へも足を延ばしました。滞在していたザンクトペルテンから西へおよそ30㌔ほどの距離です。ヴァッハウ渓谷はオーストリア北部を流れる全長約3000キロを誇るドナウ川下流地域で最も美しいと言われており、ドナウ川沿いに続くメルクからクレムスまでの約40キロに渡るエリアが「ヴァッハウ渓谷の文化的景観」の名でユネスコ世界遺産に登録されています。

ドナウ川が主要な交通手段であった中世時代の文化的景観を形成する古城や寺院が今でも残り、斜面にはワイン用のブドウ畑が見られるかわいらしい街が点在し、夏にはドナウ川観光クルーズなどでウィーンから日帰りでも多くの観光客を呼び寄せています。

世界遺産メルク修道院


その渓谷の西側の起点、メルクにある世界遺産メルク修道院を訪れました。

「オーストリア・バロックの至宝」と謳われた修道院で、現在も重要な修道場です。建物内部は各お部屋はもちろん、礼拝堂に至るまでどこもとても豪華で、マイセンで造られた暖炉や300年以上前に使われた金庫、蔵書が10万冊にも及ぶと言われる図書室などを見ることが出来ます。この修道院は、フランスへ嫁ぐマリーアントワネットがウィーンを出て最初の夜に宿泊したことでも知られています。
そして講習の最終日には、今回の講師であるミラウツ先生のマジパン細工が披露され、その繊細さに皆さんとても感動していました。

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メルク修道院


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マジパン細工

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マジパン細工


夜はさよならパーティーが開かれ、ミラウツ先生と一緒にディナーをいただき、修了証を1人1人授与されて終了となりました。 

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さよならパーティー

参加された皆さんは「こんなにたくさんのお菓子を食べたのは初めて!」と口を揃え、さらに夕食は主に市内レストランでオーストリア料理の数々をデザート付きでいただいていたので、研修期間中は朝から夜まで一度も空腹を感じることがなかったねと楽しそうに話していたのが印象的でした。

営業部 萩原珠未

今回の研修で作ったお菓子及びパン

・ザッハートルテ ・カーディナルシュニッテン ・バナナシュニッテン ・アップルシュトルーデル
・エスタハツィ・シュニッテン ・ヨーグルト・フルーツ・トルテ ・シュヴァルツヴェルダーキルシュ
・トルテ ・ゲバッケネトプフェン・トルテ(チーズケーキ) ・クッキー ・ブリオッシュ ・トリュッフェル
・トルテ ・ビーネンシュティヒ シュー生地の白鳥 ・ゼンメル ・リンツァートルテ